後藤達也さんの書かれた『転換の時代を生き抜く 投資の教科書』を紹介します。
こんな方におすすめ
- 株式投資をはじめようと思っている方
- NISAやIDeCoが気になっている方
- ビジネスマンとしての教養・センスを手に入れたい方
ジャンル 著者 出版社 出版日 ISBN | 思想・社会 後藤達也 日経BP 出版社ページへ 2024年01月29日 978-4-296-00153-8 |
著者紹介
後藤 達也(ごとう たつや)
経済ジャーナリスト
1980年生まれ。2022年に日本経済新聞社の記者をやめ、独立。SNSを軸に活動中。経済ニュースを「わかりやすく、おもしろく」をモットーに、経済や投資になじみのない人を念頭に、偏りのない情報の発信を目指している。国民の金融リテラシーの健全な向上に少しでも貢献できればと思っている。X(旧Twitter)フォロワー63万人、YouTubeチャンネル登録者数26万人、note有料会員は2.5万人。
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本書の要約
要点
- 株式投資することで多くのメリットを得られる
- 「虫の目」「鳥の目」「魚の目」で株価の変動を理解する
- 個人が勝つには「長期」「分散」
要点1:株式投資することで多くのメリットを得られる
金銭面以外でも色々なメリットがあると筆者はいいます。
投資経験を積める
会社を定年した方が、退職金を元手に投資をはじめて失敗するというケースが多いそうです。若いうちに少額から投資をはじめることで、リスクやコストに対する感覚が磨かれて、将来的に運用額が大きくなった際に失敗を避けることができます。
また、投資だけでなくバランスよく消費にもお金を使うことで、充実し安定した人生設計を立てることが可能になります。
あらゆることへの関心が高まる
投資をはじめると、経済や企業ニュースはもとより、政治、社会、テクノロジー、海外、自然災害など、さまざまなニュースを自分事として捉えられるようになり、あらゆることへの関心が飛躍的に高まるといいます。このような飛躍の連鎖が、直接役立つ教養・センスになります。
利益を上げようと必死に努力する企業の実態を知り、投資し、経営を疑似体験することで、特にビジネスパーソンにとっては、仕事をするうえでのマインドセットを磨く手軽なリスキリングともいえます。
要点2:「虫の目」「鳥の目」「魚の目」で株価の変動を理解する
株式市場という複雑な世界を立体的に捉えるには、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」の3つの目が必要であるといいます。
3つの目について、本書の記載を引用します。
「虫の目」は近い距離から、じっくりと、いろんな角度から、ものごとを見る目です。
「鳥の目」は空から全体を見渡す感じです。
「魚の目」は距離というよりも、水の流れ、潮の流れを読むイメージです。
引用:130ページ
ミクロを見る「虫の目」
「虫の目」で見る対象は企業です。株価の土台となるのは企業の利益であり、いま稼ぐ力はどれくらいあるのか、将来は成長するのか、安定的なのか、衰退するのか。企業の発表資料やニュースをできる限り読み込んでいくことで、妥当な株価が見えてきます。
マクロを見る「鳥の目」
「鳥の目」は、日本や世界の景気はどうなのか、賃金、物価はどうなっていくのか、金融政策や為替レートはどう動き、経済や企業収益にどんな影響を与えたのか、を見ます。これは個別企業のプロジェクトよりもかなり大きなトピックであり、当然株価を左右します。
例えばトヨタ株を買ったからといって、トヨタの決算やトヨタのニュースだけ見ていればいいというわけではなく、幅広い経済ニュースに目を配り、それがトヨタのビジネスにどう影響するのかを考える必要があります。
市場の雰囲気やおカネの流れを見る「魚の目」
「魚の目」は、例えば、ここ数年でAIが大きな話題となり、世界がどう変わるのか、どんな企業が突き抜けるのか…といった市場の雰囲気やおカネの流れを見ます。
虫の目や鳥の目よりフワッとしたものかもしれませんが、たくさんの投資家の期待が集まることで大きなおカネの流れできて株価が変動するというのは、株式市場において確かに発生します。
これら3つの目について本書では、株式会社スタジオジブリの買収や、大手車メーカのテスラとトヨタの比較など、多くの具体例を示しながらわかりやすく説明してくれています。
3つの目を理解し重ねることで、さまざまな角度から柔軟に経済ニュースに接することができるようになります。
要点3:個人が勝つには「長期」「分散」
株式市場に存在するさまざまなプロのプレーヤーを相手にひとりの人間が同じ土俵で立ち向かうのはかなり難しく、トータルでは負ける可能性が高いです。
また金銭面以外にも、短期的な目線で株売買を行う場合、細かな株価の変化に注意を向けなければならず、日常生活が相場に振り回されてしまうというデメリットもあります。
個人で投資を行うには「長期」「分散」が良い、といいます。
個人投資家に有利な「長期」
株式市場は長期的に見れば成長を続けているという原則から、一度買った株や投資信託は、数ヶ月~数年単位で保有し続け、長期での値上がりを狙うのが良いです。
機関投資家は短期での成績をあげなければいけないという性質上、長期投資を行うことは難しく、この点においては個人投資家に有利といえます。
銘柄・地域・時間「分散」
例えば数年前にテスラやエヌビディアに一点集中していれば、資産は大きく膨らんだかもしれませんが、それは結果論であり、将来株価が10倍にもなる銘柄を事前に見つけることは至難の業です。むしろ、数少ない銘柄に集中投資すると、株価が大きく下落したときの板では大きくなります。
下落時のリスクを小さくするためには複数の銘柄を購入し、銘柄を分散するのがおすすめです。
また、銘柄も日本株だけでなく、米国株なども買って地域と通貨も分散したほうがよいです。地域と通貨を分散することで、地政学や為替のリスクを低減します。
さらに、購入は積み立てで行うことで買うタイミング(時間)を分散できます。毎月一定額を買うことにすれば、高値でたくさん買ってしまうことから逃れられます。これは投資のタイミングを考えずに機械的に投資するため、「あまり投資のことに時間を割けない」という人に便利です。
まとめ
株式投資することで、金銭面以外でも色々なメリットを得ることができるという話からはじまり、実際に個人が投資する際の具体的な方法について知ることができました。
本書では他にも、「そもそも株・会社・決算とはなんだろう」という話や、中央銀行の役割について昨今の経済情勢を踏まえてわかりやすく説明されています。
より深く内容を知りたい方はぜひ本書を手にとって読んでみてください!